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必見!ベネズエラの現状を知りたくば読んでください。Ben Norton後編。

前回のつづき

~翻訳スタート~ (聞き手の質問) 米国がバックするクーデターは選挙で選ばれてないわけですが、一方でマドゥーロの支持はどれくらいあるのですか?

(Ben Norton)

現実は複雑でもちろんマドゥーロに反対する人達もいますし私も全員がマドゥーロを愛しているとは言いません。反対政党の支持層はミドルクラスからアッパークラスで、ベネズエラは未だに階級社会です。彼らは常に所謂「Anti-Chavismo=アンチチャビスモ」で右派、極右、かつ新自由主義の立場です。彼らは数多くの利益をそれぞれ代表しているため協調することが難しく、多くの派閥に分かれている状態です。なので米国は「OKこのグループをピックアップするから働いてくれるね」と言った感じで35歳の若いフアン・ガイドを選びました。

1月にNational Assemblyの代表に選ばれたばかりのガイドは政治経験もほとんどないのです。National Assemblyはかつてベネズエラの国会の様な役目を果たしていました。この点は少し複雑ですし大手メディアはいつも無視しますが、ベネズエラを理解するうえで非常に重要な事です。(下記に説明) ウゴ・チャベスは1998年以降6回の選挙で勝ってきましたが2013年に癌で死にました。その時新しい大統領選挙があって、チャベスが提唱していた「ボリバリアン革命」を引き継いだチャベスと同じ政党United Socialist Party of Venezuela(PSUV)メンバーのニコラス・マドゥーロが出馬し、僅差で勝利しました。2013年当時の国際選挙オブザーバーも「フェアで自由な選挙」だったと認めました。

続いて何が起きたかというと、2014年、石油価格が急落したのです。これが一つの「ボリバリアン革命」の限界でした。ベネズエラの経済モデルは石油利潤を原資にして全ての社会プログラムを行っていたために、一気に経済不況に陥りました。石油価格が高い時にだけ成り立つ経済モデルだったのです。石油価格急落は米国の主たる敵ロシア、イラン、ベネズエラの石油経済を圧迫するために、オバマ大統領がサウジアラビアに圧力をかけ過剰な石油生産をさせたことに寄ります。特にベネズエラのGDPの25%が石油ベース、そして95%の輸出が石油関連なのでその被害は甚大でした。

2014年のこの経済危機に呼応して、国内のキャピタリスト達がソーシャリストのマドゥーロ大統領に対して退陣を求める経済戦争を開始しました。2015年、ベネズエラの国会の役割を果たしていたNational Assemblyで公正な選挙が行われ、米国が非難する一院制の「独裁国ベネズエラ」で反対政党が勝利したのです。勝利したのは国営企業民営化を掲げる中道新自由主義で米国との関係も良いMUD(Democratic Unity Roundtable)という連立グループでした。このグループに属してした当時32歳のフアン・ガイドが今年(2019年)1月にNational Assemblyの代表に選ばれたのです。

こういう経緯で反対政党が2015年にNational Assemblyのコントロールを獲った訳ですが、それからすぐ彼らはベネズエラの軍隊にマドゥーロに対してクーデターを起こすよう要請したしたのです!これを米国に例えると民主党のナンシー・ペロシが議会に立って米軍にトランプに対するクーデターを要請するようなものです。 もう一つの権力衝突はチャビスモ支持の最高裁判所とNational Assemblyの対立です。National Assemblyは最高裁判所の命令を無視し始めました。これもアメリカで例えると最高裁判所の命令を民主党が「聞きたくない」と無視するようなことがベネズエラでは実際起こったんです。

2017年には平和的なプロテストと同時に極右派によるバイオレントな暴動が連続的にありました。チャビスタ(チャベス主義者)を生きたまま焼いたり、特に黒人系のチャビスタがターゲットになりました。これは人種差別と加えて、貧しい黒人はマドゥーロ・チャベス支持の傾向にあるであろうという意識からです。他にも彼らは政府ビルや与党のビルを盗み、燃やしました。そしてグァリンバス(Guarimbas)といって道端で物に火を放って各所を通行止めにする行為も起きました。近年ニカラグアでも同様の事が起きましたね。

暴動がピークに達した2017年6月には米国メディアはOscar Perezという名前の極右キリスト教徒の警察官をベネズエラ版ジェームス・ボンドだと称賛しました。このPerezは何と軍のヘリコプターをハイジャックして最高裁判所にグレネード爆弾で攻撃したんです。想像できますか?私は全般的に警察には同情しませんけどプロテスターが警察に銃を撃って爆弾を投げつけ、しまいにはヘリをハイジャックして爆弾で最高裁を攻撃するんですよ?こんなことが米国で起きたならトランプはすぐさま戒厳令を敷いてるはずです。

その一か月後の2017年7月、マドゥーロは暴動を止めるために「憲法制定会議Constituent Assembly」と呼ばれる直接民主主義に近い投票選挙による新しい立法機関の設立を提案しました。National Assembly=反対政党はこの選挙をボイコットして、なおベネズエラ軍によるクーデターと米軍による軍事介入を要請し続けました。もう一度強調しますが彼らは人気の無いマドゥーロよりさらに人気がないのです。Data Analysisという「反対政党支持グループ」による最新の世論調査でさえマドゥーロの支持率30%、National Assemblyの支持率25%という数字を出しています。

ベネズエラの憲法によると大統領の任期は6年です。ウゴ・チャベスが死んでマドゥーロが大統領になったのが2013年なのでマドゥーロの任期は2019年までのはずですが、2018年に大統領選挙がありました。これはマドゥーロが2017年の暴動を受けて、反対政党の希望に沿って早期の大統領選を認めたためです。2018年5月、一年前倒しの大統領選で何が起きたかというと、再び野党勢力の大部分がボイコットしたのです。その後彼らが何と言ったかというと「マドゥーロは公正な選挙で勝ってないので法的に大統領とは認められない」という主張です。しかし実際選挙は公正で、ボイコットしたのは反対政党側です。

そして現在National Assemblyは彼らのリーダー、フアン・ガイドが臨時大統領である、と主張しているのです。大手メディアは「マドゥーロは独裁者で反対政党を抑圧している」としか言いませんが、その反対政党は例外なく新自由主義の、中道、右派、極右などバックには間違いなく米国グローバル勢力がついている勢力で、米国国務省でマイク・ペンス副大統領やボルトンなどと定期的に会っている連中です。彼らは民主主義など興味がなく、チャベス主義以前のオルガルヒ支配に戻したいだけです。

~以上翻訳終わり~

~KORI感想~

大手メディアが言わない事は①MUDが国会にあたるNational Assemblyの選挙に勝った後、軍隊にマドゥーロに対するクーデターを要請、米軍に軍事介入を要請した事②2013年にマドゥーロが大統領になった後の2014年、ディープステートはサウジ石油増産させてベネズエラ窮地に落とし入れた事。それと連携してベネズエラ国内のオリガルヒ勢力がマドゥーロ退陣のための経済戦争を仕掛けた事③自称臨時大統領フアン・ガイドの背後はエクソンモービルなど海外グローバリスト勢力+ベネズエラ国内のオリガルヒがいること。 日本でも麻生さんが水道事業を海外に売り飛ばしていることとベネズエラで起きていることが重なりますね。

 

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