元従軍慰安婦のハルモ二と数日間共に生活した話

2011年年末、僕は韓国ソウルにやってきました。特に宿も決めておらず、どこか安宿街はないかと情報を集めるために、地下鉄のプラットフォームでたまたま隣におられた40代の女性二人組に声をかけました。

するとそのお二人は偶然にも日本人で、「うちらはNGOで活動しているからそこが所有しているマンションに泊めてあげれるか局長に聞いてあげる!」とまで言ってくれました。

なんと親切な方々だ、ラッキー!と思った僕は二人について行ったのです。

そのNGOはホンデ(弘大)の繁華街近くにありました。お会いした局長さんは日本語がとても流暢で、昔日本で中古のパチンコ機器を香港に売って財を成したと言っていました。旅人の僕にとても優しくしていただき、なんとNGOが所有するマンションの一室を提供してもらえたのです。

NGOは事務所の一階でカフェを経営していました。上の階ではテコンドーとリュリョと呼ばれる気功の一種を小中学生に教える活動をしており、僕も週一回くらいは参加しましたがその他は夜クラブに行ったり韓国語を勉強したり自由にさせてもらってました。

ある日、マンションにスタッフと見知らぬハルモ二(お婆さん)がやって来て挨拶をしました。その方はテグ(大邱)から着いたばかりで「今日から3日間ここに泊まる」とのことでした。お婆さんは僕が日本人だと知ると日本統治時代に使っていた今なお流暢な日本語で話かけてくれました。話してみてビックリ、、

「私は元従軍慰安婦で15歳の時に日本軍に捕まえられて台湾に連れていかれたんだ。そこで色んな酷い目にあったんだけど少尉(中尉だったかも?)に助けてもらって恋に落ちた。でも少尉は神風特攻隊で出陣して帰らぬ人になってしまった、、、少尉が出発する前日、彼は私に一篇の歌を詠んでくれた。「君への思いは強いが自分は御国の為に行かなくてはならない、この新竹の基地から、、、、」

この時の歌にあった「新竹」という単語を覚えていたおかげで台湾の新竹基地に自分はいたんだという事が分かり、 戦後、何十年も経ってから、その土地を再訪したとのことです。

ハルモニの名前はイ・ヨンスさんと言ってアメリカ議会でもスピーチするなど元従軍慰安婦の活動家として有名な方でした。3日間同じマンションで生活し、一緒に教会で賛美歌を聞きに行ったり、マッサージしてあげたり仲良くなりました。しかし「15歳のハルモニを連れて行った人達は日本軍の軍服を着ていましたか?」などの質問には「答えたくない!」といって急に怒られたりしました。

当時で80歳を超えていたハルモニがソウルまで来た理由は毎週水曜日に日本大使館前でやってるデモに参加することだと言っていました。残念ながら約束があった僕はその水曜集会を見物することは出来ませんでした。その代りに従軍慰安婦問題と韓国人原爆被爆者の会の原告団を率いる弁護士さんとハルモニと一緒に、日本統治時代に日本に持って行かれた文化財が菅直人政権によって韓国に返還されることを祝ったセレモニーに出席しました。

セレモニーはソウルの有名なお寺で開催され、一般客の他に政財界の人々やマスコミもいました。日本からは朝日新聞も来てました。そこで食事会があったのですが弁護士さんから僕も日本人の青年として何かスピーチするように言われたので「従軍慰安婦問題や竹島・独島問題は二国の発展を妨げているから棚上げして、日韓で協力して本当に重要な未来の問題と戦うべきだ」と言ったところ予想外にも拍手をいただきました。

その後NGOの局長からNGOの職員になってくれないか?と説得されましたが旅を続けたいのでお断りました。

あれから7年経った今思うことは、日本と韓国が争っている問題は日韓が団結したり本当の支配者に刃向かわないようにする為の軍事的な洗脳工作(PSYOP)だと言うことです。その軍事的な洗脳工作を考えている人達は日本人でも韓国人でもありません。この人達について考えることの方がよっぽど重要です。我々が対立すればするほど漁夫の利を得ている国際的な勢力です。

人間は太陽系に生まれてしまったおかげで「目の前の問題(太陽)VS自分(地球)」という1対1の問題に囚われる習性があります。宇宙には太陽が2つ以上ある恒星系が常識です。もし太陽系に太陽が2つあったら「目の前の問題VS自分VS外部環境要因」など思考の選択肢が増えたでしょう。今後は日本と韓国でこの思考パラドックスから目覚めた人達同士が連携する必要があると思います。

          

 

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