悪魔教徒の女性と飲みに行った話

週末、自称悪魔教徒の女性と飲みに行く機会がありました

全身を入れ墨とサタン系ファッションブランドに身を包んだ彼女は20代後半の中南米にルーツを持つ白人系アメリカ人です。見た目はイカツイですが投資系の仕事をされてると言う事でした。

彼女は幼少期にメキシコ移民だった母親から「サンタムエルテ」という死神信仰を受け継いだと言っております。サンタムエルテは直訳すると「死の聖人」であり、その外見も髑髏がローブを羽織って、場合によっては長い鎌を持っている、まさに、あの死神のイメージで間違いないでしょう。

サンタムエルテはメキシコで特に2000年以降隆興して都市部で急速に広まった民間宗教で、300万人ものメキシコ人貧困層、水商売や売春など夜の仕事人たち、ギャングなどから強い支持を得ています。アメリカでもテキサスやカリフォルニアなどメキシコ移民の多い土地では一部信仰されているようです。

サンタムエルテには相手を呪詛する力と、呪詛から守る力もあると言われています。メキシコマフィアのガルフカルテルの幹部たちが信仰していると言われている事や、ソノラ州で2人の10歳の少年と一人の20代の女性が犠牲となった「生贄儀式事件」で実際に逮捕者が出ていることから一般的に良くないイメージがあると思います。これはかつてのアステカ時代にあった生贄を神に捧げる習慣とスペイン人が持ち込んだキリスト教に対するアンチテーゼとが混ざって出来た宗教なのかな?とも思いました。当然、バチカンからはカルト指定を受けています。(死は聖人化できない、という極めて自分勝手で権威的な理由のようです)

死神と神は友達か?

私は彼女に「サンタムエルテとヤハウェ=神は友達か?」と質問したところ「もちろんそうよ」という答えが返ってきました。という事は、本稿のタイトルに「悪魔」という日本語を使いましたが、それは間違えで、実際にはサンタムエルテの信仰者は死神が「悪」とは考えていません。むしろ、人間には生老病死を恐れるネガティブな部分があって、骸骨の神様を崇める心理は、そのネガティブさに寄り添ってくれる、ということのようです。

サタニストに共通して言えることとしてキリスト教的に善悪が対立していると考えるのではなく、この世に満たすエネルギーは一つであり、そのエネルギーを悪行に使うも善行に使うのもその人次第である。まさにアリスター・クロウリーが言う「汝やりたいようにしろ」の世界です。

私がサンタムエルテの儀式を観たり、信者に取材したいと言ったところ、彼女は私にサンタムエルテ信仰のメッカ、メキシコシティーに行くことを勧めてくれました。

 

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