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https://www.rt.com/business/435826-turkish-lira-record-low/
RT8月13日記事より。
8月13日、トルコリラは1ドル7.2リラという歴史的な下落を見せた。2018年に入ってトルコリラが米ドルに対して半分になり、株式市場イスタンブール100銘柄は2009年3月以降で最低値になった。
アメリカがトルコの鉄とアルミに対して倍の関税をかけたのが主な原因と言われているが他にも理由はある。
アメリカとトルコの関係が悪化したのは2016年、トルコ軍によるエルドアン大統領に対する軍事クーデターが失敗してからだ。エルドアン大統領はワシントンがテロの首謀者たちを匿っているのだと非難した。そしてアメリカ人牧師Andrew Brunsonが軍事クーデターに加担した罪で逮捕されたのをキッカケに、アメリカはトルコに対する経済的圧力を強めた。
Brunsonは20年間トルコに住むアメリカ人で、テロとスパイの容疑で逮捕された。もし罪が確定すると最大で35年の懲役刑となる。
エルドアン大統領は中央銀行が金利を上げることを許さず、結果、リラの崩壊を食い止めれなかったことをトルコリラ投資家達から批判されている。加えて、トルコのGDPは、半分が米ドルやその他通貨の借金で占められている。トルコリラの価値が下がったということは借金が事実上膨らんだということだ。
金融大臣Berat Albayrakは2日、地元メディアのインタビューで「具体的には言えないがアンカラ政府はトルコリラを救う」とした。
2016年のCIAクーデターが失敗してから、急激に独自外交を始めたトルコ
現在、トルコの安全保障問題は、シリア国境のイドリブにはイスラエルから支援を受けるイスラムテロリストとクルド軍がいること。政府と国内に何百万もいるクルド人との仲が悪く、この中にはCIA、モサド分子がいる、国内に数百万いると言われているギュレン派=CIA派がいる。2016年のCIAクーデターを経験してコリゴリしているエルドアン大統領。
NATOに属しているにも関わらず、今ではロシアからS-400ミサイル防衛システムのような強力な武器を仕入れているトルコ。ロシアとの和解、ギリシャ国境まで繋がる、ロシア・トルコ・ストリーム・ガス・パイプライン交渉再開。この新露の動きは言わずもがな、2016年CIA=ギュレン派のエルドアン大統領に対するクーデターが失敗してから親アメリカから一気に傾いた結果です。これでも2016年以前はシリア反政府軍のためにサリンをシリアに輸送してあげたり、エルドアン大統領の弟の会社とISISの石油取引をさせて資金繰りを助けていたりCIAとの協調をしていました。トルコの経済は脆弱ですが、今後、中国と軍事協力を結び、ロシアにもアメリカにも頼らない独自外交力を増すでしょう。
日本の政治には決定的にスッポリと欠けているものがトルコにはあります。トルコの立ち回りはすでに戦後70年飼いならされてしまった巨大アウシュビッツの奴隷、日本人には羨ましい限りです。 トルコは明らかに中国、ロシアからやってくる新しい世界秩序を計算に入れてベストな身の置き方を模索している。
将来の世界秩序の形が頭にあるからこそからトルコリラが今年に入って対ドルで4割5割下がろうが、逆にIPHONEを拒否するぞ、とアメリカを撥ねつけることが出来る。これは、日本の現政権には全く真似できない覚悟と先見性を持っている。仮にトルコで人気第一位のIPHONEがなくとも中国産HuaweiやOppoでも十分クオリティが高いし何より安い、という訳です。
その独自外交力はNATOに参加しているトルコが、南アフリカでBRICS+会議に参加した時、【BRICST】というトルコを含んだグループを申し出たことに表れています。その結果、今では中国、ロシア、イランと米ドルを介さず、ローカル通貨を使ったトレードをすでに始めてます。ロシアが大量の米国債を売り浴びせて金買いに入ってる流れにトルコは同調しています。もう、ドルは信用できない、と。
経済的には苦しいトルコ、中国とも一帯一路で組んで経済的恩恵を受けたい
NYタイムズ8月10日付けには「トルコは真剣に新しい同盟を探している」とあります。 アメリカから蹴られたことによって自由落下状態のトルコリラを救えるのは中国との経済協力以外はないとみているでしょう。すでにトルコの財務大臣は中国から36億ドルの貸与を受けることを発表。外貨による借金漬けになるのはマズイですがすでに選択肢のない、脆弱なトルコ経済、、、なぜならトルコ企業はすでに3000憶ドル分の外貨建て借金があり、それらの多くは1ドルが2リラの時に借りています。今回のリラ下落により、7~6リラになったということは借金が3倍になったということです。
地政学的要所、トルコ。黒海、地中海から東欧と南ヨーロッパへ、陸路ではイラン、パキスタン、中国へと接続する
中国最大の海運会社、中遠太平洋(COSCO Pacific)はすでにトルコ第3のクムポート港の株式を65%所有している。中国はトルコとパートナーシップを深めることによって列車で地中海と黒海の港までアクセスできる。
中国からするとトルコは、パキスタン→イラン→トルコ→ヨーロッパまで一帯一路を接続する最後の要となる。そしてアラブ諸国へのアクセスはもちろんの事、黒海を渡ればバルカン半島へもアクセスできるまさに地政学的要所。
なんやかんや言ってもEUはトルコにとって最大の輸出相手国
2017年、トルコ統計局によるとトルコの対中国の総輸出額に占める割合は(ドル建てで)19.4%、ドイツで33.9%。2018年4月の時点で株式投資の(トルコ中央銀行調べ)72.1%がヨーロッパからきている。7.6%がアメリカ。そして中国はたったの1.1%にすぎないので今後トルコがヨーロッパから中国に一瞬でシフトするかと言えばそうではない。ヨーロッパにいる400万人のトルコ移民と本国間の経済関係も継続するであろう。
トルコにとって中国と仲良くすることはリスク分散
トルコにとって中国は投資を探すのにとても良いし、トルコの貿易、経済ポートフォリオが分散されることによってアメリカの貿易戦争リスクを最小化できる。もちろんEUへの依存度も減らせる。またロシアとも天然ガスパイプラインと対シリアで軍事的に協調しているので大国に囲まれながらもそれぞれバランスを取って付き合える。
日本もトルコを見習ってCFRの命令系統から脱却して、国益重視の独自外交に切り替え、中国、ロシア、アメリカの三方とバランスよく付き合う道を模索するべきです。
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