2pacとノトーリアスB.I.G暗殺事件の犯人は誰だ?

2018年2月USA Networksが「未解決:TupacとNotorious B.I.Gの殺人」と題して10回に及ぶTVドラマを放映した。2018になっても20年以上前の2人の伝説的ラッパーの殺人事件が注目されている。

今回この事件を調べてみて驚いたことは、この事件を読み進める者を非常に混乱させる構造になっていることだ。「誰かが嘘を言っている」と言ったような非常にサスペンス性の強い「現実は小説より奇なり」という事件だ。

1996年9月7日ネバダ州ラスベガス

西海岸を代表するラップスター2pacシャクール(Tupac Shakur)は友人マイクタイソンの試合を観戦して会場を後にした後、横着けされたキャデラックから発射された4発の銃弾を受け6日後の9月13日に死亡した。

6ヵ月後、

1997年3月9日ロスアンゼルス

2Pacのライバル、東海岸の代表的ラップスターであるノトーリアスB.I.G. (AKA ビギー・スモール)が2Pac同様のドライブバイシューティングによって射殺される。

ここでシンプルな推論が生まれる。2Pacが所属するレコードレーベル「 DeathRowレコーズ」のCEOでピル・ブラッズギャングのメンバーでもあるシュグ・ナイトが2Pac殺害に対する報復でB.I.Gを殺したのでは?という事だ。しかし、ナイトがB.I.Gの殺害どころか、2Pacの殺害にも関与しているとの疑惑が浮上するのだ。この疑惑は2PacとB.I.Gの殺人事件の捜査チームを率いたLA警察の刑事、ラッセル・プールによって主張される。しかしシュグ・ナイトは2Pacが狙撃された時に車に同乗していて被弾した人物である。そんな身を危険にさらしてまで2Pacを殺すだろうか?

ラッセル・プール刑事の結論

2Pacは強姦罪で服役した時、ナイトから多額の保釈金を出してもらって保釈されたが、レコードレーベルから急に離脱を表明したためにナイトに殺された。ナイトは2Pacが銃撃を受けた時、ナイトも車に同乗していて被弾したと言っている。しかし怪我をした警察記録も病院記録もない。そして、2Pac殺害容疑の目が自分に降り注ぐの逸らすために、当時2Pacと反目しあっていたB.I.Gを殺して罪をB.I.Gになすりつけた。ナイトは警察からノーマークだった抵当権ブローカーで黒人イスラム教団「フルーツ・オブ・イスラム」のメンバー、アミール・ムハンマドにB.I.G殺害を依頼した。ムハンマドは大学時代からの友人で後に銀行強盗で14年の刑を喰らう不良警察官デービッド・マックと共謀してB.I.Gを殺した。LA警察の上層部もこれに関与している。

プール刑事はLA警察の上層部にまで捜査のメスを入れようとした為に捜査は妨害され、失望したプールは警察を辞めることになった。

ここに対立する理論が登場する。

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ピューリッツァー賞受賞者のLAタイムス記者チャック・フィリップスの2002年の記事は、ラッセル・プールの理論に反するものだった。

LAタイムズのフィリップス説

銃撃事件の数時間前、オーランド・アンダーソンというサウスサイド・クリップスギャングのメンバーが2Pacから暴行を受けた。同時刻、B.I.G.はラスベガスにおり、ある「イースト・コースト・ラッパー」と共に数人のクリップスギャングとミーティングをした。
そしてB.I.G.はヒットマンへの支払い100万ドルに同意しただけでなく、B.I.G.自身が所有するグロック社製の40口径銃をテーブルに置き、これを使用しなければならないと主張した。その後、2Pacは銃撃を受けた。

ラスベガス警察はアンダーソンを一度取り調べたがすぐに解放した。 その後アンダーソンは何者かに殺害され、警察はギャング絡みの殺人ではないと発表した。しかしフィリップスのB.I.G犯人説は匿名のクリップスギャングメンバーの話を根拠にしている。

プール理論を支持したB.I.Gの家族はロスアンゼルス市相手に500万ドルの訴訟を起こす。フィリップスのB.I.G犯人説はDeathRowレコーズの関係者ケヴィン・ハッキーの「記者のフィリップスと不良警官マックが頻繁にDeathRowレコーズの集まりに参加しており、金も受け取っている」という法廷証言で全てが否定されたかに見えたが、家族の訴えは2010年に退けられてしまった。

プール理論はノンフィクション作家ランデル・サリヴァンがプールの主張を詳しく聞き取り著書「Labyrinth」の中に書き記した。ニック・ブルームフィールド監督のドキュメンタリー 「Biggie and Tupac」ではプール説が真実だと採用されている。

2018年現在、シュグ・ナイトは2015年LAコンプトンでヘヴィ―ウェイトレコーズの共同設立者テリー・カーターを車で轢き殺した罪で拘置所に収容されていたが、2017年に健康上の理由から保釈されて病院に入っている。

2PacとB.I.Gの捜査は打ち切られたままである。しかしシュグ・ナイトはクリップスのライバルギャング「ピル・ブラッズ」のメンバーであることや、フィリップス記者がシュグ・ナイトに買収されていた証言や、death rowレコーズと警察が関与して2pacとB.I.G.を殺害したと言うプール刑事の捜査をLA警察が打ち切ったことなどから、推測すると自ずと犯人は見えてくるだろう。

 

 

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